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川出良枝

川出良枝

かわでよしえ

東京大学大学院法学政治学研究科教授
西洋政治思想史・現代政治理論。
パリ第七大学DEA課程修了。
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。
放送大学、東京都立大学を経て、現職。
ケンブリッジ大学キングスカレッジ客員フェロー(2015~2016)。
著書に
『貴族の徳、商業の精神』(東京大学出版会、1996)、
『政治学(補訂版)』(共著、有斐閣、2011)、
『西洋政治思想史:視座と論点』(共著、岩波書店、2012)、
編著に
『岩波講座政治哲学1 主権と自由』(岩波書店、2014)、
『ルソーと近代―ルソーの回帰・ルソーへの回帰』(共編著、風行社、 2014)など。
論文に
「モンテスキュー」(松永澄夫編『哲学の歴史6』中央公論新社、2007)、
「ルソーにおける『祖国への愛』と『人類への愛』」(『思想』no1027、 2009)、
「リスボン地震後の知の変容」(『別冊アステイオン「災後」の文明』阪急コミュニケーションズ、2014)、
「公共の利益のための学問」(『政治思想研究』第14号、2014)、
「自由社会にとっての試金石」(『ふらんす特別編集シャルリ・エブド事件を考える』白水社、 2015)、
「政治的寛容:ポリティーク派からピエール・ベールへ」(『思想』no1143、 2019)など。

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ (全11話)

収録日:2020/08/17
追加日:2020/09/19

モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家

追加日:2020/09/19
18世紀フランスの最も重要な思想家は、モンテスキューとルソーである。この二人は、前者が自由主義思想を確立し、後者が民主主義思想を発展させた点や、経済に対する考え方などに関して相違点を持つが、専制に対する手厳しい批判者で...

モンテスキュー「三権分立」の特徴は司法権の独立の主張

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(2)権力分立の強調

追加日:2020/09/26
モンテスキューの『法の精神』では、政治的自由の本質として、権力が他の権力を制限することを重視している。これを実際に達成したのは、名誉革命後のイギリスである。ロックなどが評価する合意による政府の運営よりも、権力の分立を...

モンテスキューがイギリスの党派争いの中に見た政治的自由

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(3)不協和の調和

追加日:2020/10/03
モンテスキューは、立法、執行、司法という三権の機能的分立だけではなく、諸集団の間の実体的三権分立にも着目していた。イギリスの党派争いを観察する中で、諸集団が激しく対立し合いながらバランスを取ることで政治的自由が保護さ...

『法の精神』と多様性…国が異なれば制度も異なるのが自然

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(4)多様性を擁護する

追加日:2020/10/10
イギリスの国政に理想的な政治的自由を発見したモンテスキューであったが、同時に本国フランスにはフランス独自の方法があることを強調した。そもそも国家や社会は、無数の条件に規定された唯一無二の存在であり、ある絶対的に正しい...

ルソーが宣言した、新しく国家をつくる際の二重の課題とは

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(5)社会契約論の議論

追加日:2020/10/17
ルソーの『社会契約論』の議論は、自然的自由を放棄することで、国家を設立することから始まる。しかし、すべての国家の構成員は自らに備わっている立法権を通じて、国家の一般意志、すなわち法律をつくり出す。すべての構成員は自分...

ルソーの「一般意志」とは…『社会契約論』で説いたこと

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(6)「一般意志」と直接民主政

追加日:2020/10/24
「一般意志」とは何かを考えるために、ルソーは個々人の利益を追求するための意志である「特殊意志」と、その単なる総和である「全体意志」を持ち出す。この一般意志と全体意志の間には埋めがたい差異がある。一般意志を追求するため...

古代崇拝が『社会契約論』に持ち込んだ一つのジレンマとは

政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(7)自由の意味

追加日:2020/10/31
古代ローマの共和政に範を見出したルソーだったが、近代における人間観が古代ローマのそれとは大きく異なるという問題に直面する。一般意志を考える上で、より穏当な結論に着地することもできたが、ルソーは突き詰めてその意味を考え...

エピソードが語るモンテスキューとルソーの両極端な人物像

『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ【質疑篇】(1)モンテスキューとルソーの人物像

追加日:2020/11/07
モンテスキューとルソーは、思想だけではなく人物像も好対照をなしている。中庸の人ともいえるモンテスキューに対して、ルソーは極端から極端といった振れ幅のある人で、人とよく争うが、女性には人気があったという。また、二人はお...

社会契約論はナンセンス?…ホッブズの発想から考える

『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ【質疑篇】(2)社会契約論の現実

追加日:2020/11/14
社会契約論の言葉自体は広く日本人の間に膾炙しているが、その発想はかなり人工的なものであり、なかなか受け入れがたい。実は社会契約論の淵源は、内戦期に国家の存在が動揺していた中でホッブズが国家の基盤を問い直したことにある...

ルソーの「一般意志」「特殊意志」「全体意志」の違いとは

『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ【質疑篇】(3)「一般意志」と全体主義

追加日:2020/11/19
ルソーは『社会契約論』において三つの異なる意志を定義した。その中でも、特殊意志の総和としての全体意志と、市民全体の共通善を志向する一般意志の間の差異は、重要ながら分かりづらい。一般意志の議論は、ともすれば無謬性を標榜...

IT技術の発展による直接民主主義の可能性を考える

『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ【質疑篇】(4)直接民主主義の可能性

追加日:2020/11/26
最後の論点として、IT技術の発展に伴う直接民主主義の可能性について議論する。モンテスキューは権力の抑制に力点を置くために、たとえ技術的に直接民主主義が可能となったとしても、その決定に対して警戒感を持ち続けるのではないか...

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